【ありさ編vol.3】風俗って前払いなの?でも信じない

■ソープに人生初入店

睡眠不足と興奮が入り混じったフワフワした感覚で、1時間も早く店の近くで待機した。
コーヒーは2本目、タバコは4,5本目か?人生初の風俗。興奮を通り越して逃げたい気持ちになる。

(今からでも予約取り消そうか、、いや、でもここでやめたら多分一生いかないかもしれない。)

そうこう考えるうち、予約の時間がどんどん迫ってくる。

あと10分・・
あと5分・・
もう逃げられない。

最後の一本を吸い終わり、意を決して店のドアを開けるとすぐ左側がフロントだった。

「いらっしゃいませ。ご予約は?」

店員が淡々と言葉を発する。

「あっ、、10時から予約の○○です。」

声が震えるのを懸命に抑える。

「はい、○○様ね。えーっと、ありささん70分で間違いないですか?」
「はぃ・・」(小声)
「では23000円頂戴します。」

(え?・・・前払い?!)

もちろん予約時に総額23000円ということは確認済み。とはいえその金額はキャバクラのセット料金みたいなもので、退店時の会計はいろいろ加わって倍くらいになると覚悟していた。

まさか前払いとは予想外。ソープってこんな明瞭会計なの?もうお金がかかる心配ないの?とほんの少し安心したが、まだ油断はできない。とりあえず、言われた金額を震える手で支払う。あれほどみっともない震え方は過去に経験がない。

■ソープ店の待合室

会計を済ませると、番号札を渡され待合室に通された。ちょっとよさげなソファーにテーブル。15人ほどは座れる。が、平日の昼間で他には誰もいない。初ソープで勝手がわからず挙動不審な自分を他人に見られなくて済むと思いホッとした半面、誰もいないなんてやっぱオレ騙されてる?と疑心暗鬼。

しばらくすると、店員がお茶とおしぼりを持ってきてくれた。スーツ姿で片膝ついての丁寧なダウンサービスが、逆に落ち着かない。店員はこのおどおどした客が何をしに来たかを知っている。紳士をもてなすような接客はいらない。もっとゲスな生き物を観る目で雑に扱って欲しい。店員が部屋を出ていくと、また一人の空間に戻る。

とりあえず落ち着こうと手にしたタバコを床に落とし、それを拾い上げると今度はライターを落とし、それを拾い上げると今度はお茶をこぼした。

一人で騒がしい。

壁に掛けられた大型テレビで昼の情報番組をやっていたので緊張をまぎらわすために集中して観ようとしても、話が一つも頭に入ってこない。キョロキョロとあたりを見ると、この店で働いている女の子の写真が飾ってある。

(このソープ店だけでこんなにいるのか、、てことは、周辺の店と合わせると数百人はいる、、)

今日、駅ですれ違った女の子のうち何人かはこの業界で働いているのかもしれないと思うとなんだか興奮する。普段は下ネタNGで清楚な振りをして、人知れずエッチなサービスで稼いでいる女の子。そんな子がもしかしたら自分の職場にいるのかもしれないと思うとワクワクした。

タバコを2,3本吸って、20分が過ぎた。

(遅い、、、)

10時の予約で今10時20分。不安がよぎる。

(70分って、予約時間から?それとも女の子と対面してから?)

そんなことすら分からない。実はもう70分コースのカウントは始まってるのかも。
そうすると残りは50分しかない。しかもまだ呼ばれる気配なし。

(そりゃそんなにうまい話ないよなぁ・・)

心配性が止まらない。