【さおり編vol.2】若手の熟女

■60歳くらいの先客

とんでもないオバサンが出てきたらどうしようと心配しながら、熟女店のドアをくぐる。ドアを開けるとチリンチリンと鈴が鳴った。目の前のフロントに、学校の事務員さんみたいな格好をした老人の店員が1人座ってる。

「いらっしゃい。ご予約は?」

熟女店ということで他の店より数千円安いので、少しだけ長めに時間をとった。これが裏目に出ませんように、、
店員は無愛想で、受付けが済むと座ったまま待合室を指差した。コミュ障で出来るだけほっといてもらいたい自分としては、この雑な接客がありがたい。

それにしてもこの店は店構えだけでなく、内装も古い。もちろんエレベーターもない。ソファもボロボロでレトロな喫茶店のような狭い待合室が、昭和にタイムスリップした気にさせる。特に熟女のコンセプトに合わせているわけではなく、ただ古いだけみたいだけど。

 

狭い待合室の中に入ると、見た目60歳くらいの先客が1人、ソファに片膝を立て新聞を読んでいる。一目で常連とわかる立ち居振る舞い。まるで自宅のリビングのようにくつろいでる。

しばらくして店員がその客を呼びに来た。番号も名前も呼ばず、あうんの呼吸で誘導されていったと思ったら、すぐに通路の向こうから女の子の声が聞こえてきた。

「あら〜、〇〇さん、久しぶり〜」

やはり馴染みの客らしい。客があの歳なら、熟女とはいっても20歳くらい年下なのか?確か今日のシフトに40歳以上はいなかったはず。どうしても熟女という言葉からは年上を想像してしまうので、感覚が狂う。

 

そうか、世の中に熟女専門の風俗店が多いのは、年配の客が多いからかな。自分もあのくらいの年齢になったら、”20歳年下の熟女”にハマるのかも。

年配の客は、もしかすると熟女の経験やテクニックを求めているわけではなく、自分より年下だから熟女という肩書きなんか気にしてないだけかもしれない。自分からみた若い子と、60歳のおっさんからみた若い子の範囲が違うだけで、結局男は若い女を求めているのかな?

自分より”年上の熟女”のニーズがどのくらいあるのか、謎のまま。

■若手の熟女とご対面

待合室に一人になり、10分ほどでオレも呼ばれた。熟女界の若手、33歳のさおりちゃんとのご対面。さおりちゃんは身長153cmと小柄で、パフュームのノッチみたいなルックス。好感のもてる美人。ウエストは程よく細い。スナックの女の子が着てそうなドレスにだけ、熟女感がある。

手を繋いで部屋へ。肌はさすがに20代前半の子にはかなわないけど、キレイで艶もある。失礼ながらもっとカサカサの肌を予想していた。

さおりちゃんはニコニコしていて人当たりがいい。

「今日は仕事休み?」
「この店は初めて?」
「その上着で寒くない?大丈夫?」

などと次々に質問をしてくれる。コミュ障の自分は、例え誰が相手でも数十分もすれば気まずい空気になる。ある意味天性の才能。努力して変えようとしても子供の頃から1ミリも変わらず、もはや諦めている。