早朝から色気ムラムラで街を歩くお姉さまの災難【あお編vol.1】

■フーゾクの”定価”はオカシイ

慣れてしまったせいで忘れがちだけど、やっぱりフーゾクは異常な世界。対面したばかりの女の子に断られる事なく当然のようにエッチができるなんてどう考えてもオカシイ。

”そういう仕事を選んだのは本人の意思”なんて冷めた意見もあるだろうけど、いくら仕事とはいえ、もう少し女の子に選択権があってもよさそうな気もする。

客としてこの子は1万でももったいない、この子なら5万払ってもいいなんて感情が湧くのと同じように、女の子にもこの客となら1万でもいい、この客は5万もらってもイヤなんて感情は当然あるはず。

キモいオッサンとスタイル抜群の美女なら月給を丸ごと差し出すべきだし、清潔感のあるイケメンとブサイクデブならタダでもいいでしょ。これで不公平感なし。全ての組み合わせが一律料金なんて理不尽にも程がある。

オトコはいくらなら払うか、オンナはいくらなら受けるか、顔合わせしてから決められるシステムがあればいいのに。

男「オメ―なんか30円の価値もねえ!」
女「アンタなんか30万もらってもイヤよ!」

特にキモいオッサンとブサイクデブの熱い戦いは見もの(本人談

フーゾク業界さん、よろしくお願いします。

■夜の街の、朝の顔

人気店の指名あり、破格の40分9000円イベント続行。

(イベントが終わるまで行き続けてやる!)

そう意気込んで駅の階段をくだっていると、早朝から色気たっぷりのお姉さま方を何人か見かける。

あわただしく気だるい駅の雰囲気には似つかわしくない艶めかしいオーラで、出勤途中のサラリーマンにはいい栄養補給。目線はお尻と脚に釘づけ。

朝5時すぎから遊びに行くわけでもあるまいし、そのファッションで出社というわけでもないはず。朝帰りにしては足取りがはっきりしすぎていて違和感しかない。

(あの子も、あの子も、絶対ソープ嬢だわ、、)

「この中にこれから遊ぶ子がいるかもしれない」そう思うとワクワクする。

もし今声をかけても「アンタ、ダレ?」となるのに店で会えば「キテクレテ、アリガトー!」となるわけだ。

駅のロータリーに出ると昨夜の余韻を引きずってか、街の雰囲気がいつもと少しだけ違う。若い女の子を取り囲むように数人ほどの人だかりができ、道行く人も何事だろうと振り返りざわついている。

(なんかトラブルでもあったか、、?)

こういう夜の街では珍しい事ではない。かといってよく見かけるわけでもない。「まれによくあるヤツ」とはまさにこの事。

トラブルの中心はかわいい女の子っぽいし、野次馬精神がないわけではないけれど、そんなことより少しでもはやくイベントに並びたい俺は人だかりを横目に店へと急ぐ。

■もしかしてあの時のあの子!?

今日指名したのはあおちゃん23歳。予定していた子がみんな先に取られ、結局また消去法。どれだけ並んでんだよ、、

でも前回みたいに残り物には福があるかもしれないし、まあしゃーない、と開き直って待つ事にした。

それにしても、次から次へと客が来ては呼び出されていくのに、その流れからどうやら俺は取り残されている気がする。あとから受付けを済ませた客が先に待合室から出ていく。

(遅せえ、、)

入店してからもう30分以上経過。

店「お客様、大変お待たせしました」

ようやくエレベーターで対面したあおちゃんは早朝にもかかわらず、顔が少し紅潮してテンションが高く、ちょっとした違和感がある。

嬢「ごめんね、遅くなって、、」(フーッ、、
俺「・・あ、いや、全然、、」

どういうわけか深呼吸をしている。もしかして遅刻しそうでバタバタしてた?

俺「なんかあったの・・?」
嬢「・・あ、うん、、」

あおちゃんはそのへんでよく見かけるごく普通の20代女子のスタイル。ここ最近、スタイルに関して大当たりが続いていただけに少しがっかり感があるとともに、なんだかホッとする日常感。

(・・ん?そういえばこの子、、)

顔面偏差値はそこそこ高い。何か一つでもいいところがなければ生き抜いていけない厳しいフーゾクの世界。

嬢「さっき駅前で痴漢にあって、、」
俺「痴漢!?」

(もしかしてやっぱり、さっきのあの子?)

嬢「・・で、警察も来て、店にも遅れますって連絡して、、」(ハア、、
俺「警察も?」

確かに駅前の交番からすぐ近くの店。騒ぎがあれば秒で警官が来てもおかしくない。

俺「相手は?」
嬢「なんか、アジア系?外人?いきなりガバッてココを触られて、、」

この辺がフーゾク街ということは付近に住む外国人なら知っているはず。フーゾク嬢なら痴漢してもほほ笑んで受け入れてくれるに違いないとでも思ったのだろうか?

それとも明け方まで飲んだテンションそのままで、だれかれ構わずイタズラしてしまったのだろうか?

嬢「スタッフさんが心配して迎えに来てくれたの」
俺「大丈夫、、?」

これからこの子に痴漢以上の行為をする俺が偽善の心配。同じエッチな行為をするにしても、金を払う事で正義ヅラできる。ま、万引とレジを通るのでは違って当然か。

あおちゃんは若い女の子のステレオタイプのような柔らかい、ちょっと高めの癒し声。カラダより声の方がエロい。

嬢「でも、さすがにアレは初めて!」(ビックリ!

おそらくこれまで何度も痴漢被害に遭ってきたであろうあおちゃんでも、道端でいきなりオマンコをガシッと掴まれたのは初めての経験らしく、動揺が冷めやらない。

嬢「もうハヤバン辞めよ、、」

フーゾクではなく早番を辞めるところにたくましさを感じる。

それにしても、「この中にこれから遊ぶ子がいるかもしれない」の予感的中。この子だったのか。

今日がイベントでなければ、あおちゃんが痴漢に遭わなければ、俺が他の子を指名していれば。いろんな偶然が積み重なって、街中で見かけた見ず知らずの女の子とエッチする事になった。

もしもあの場で話しかけていたら間違いなく「アンタ、ダレ?」だったはず。それがわずか数十分後、プライベートで起こった事をこうして包み隠さずタメ口で話している様子になぜか不思議さを感じる。

ま、とにかくアホなヤツのせいで俺は今日、あおちゃんに対して紳士に振る舞う事に決めた。この子に痴漢のPTSDを発症させるわけにはいかない。

今日は何もしない。あおちゃんにすべてお任せ。